映画・テレビ

2018年4月 3日 (火)

桜守り

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けさ4時からのラジオ深夜便を聞いていたら、桜守りの森田さんという人のお話しだった。先日、吉永小百合主演の「北の桜守り」という映画を観たばかりで、桜の木の腐食した部分に墨と糊を混ぜたものを主人公が懸命に塗る場面があった。1970年代はまだよい薬がなく、墨と糊で治療していたのだなと眺めていたが、その映画の桜守りの指導をされたのが森田さんだった。吉永さんに会って最初はドギマギだったが、質問攻めの熱心さにさすが大女優と思ったとのこと。

今年の桜・染井吉野は足早にやってきて、去っていった。29日、千鳥ヶ淵の桜は満満開、たくさんの人だった。咲く時期を少しずらして楽しめる天龍峡の八重桜街道は今が満開のよう。ここをつくったのも森田さんとのこと。そういえば、福島三春の滝桜の子孫を分けてもらったハルさんの桜はどうなったかしら。

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2018年3月 1日 (木)

映画「祈りの幕が下りる時」を観る

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この手の日本映画はほとんど見ないので、何とも言い難いが、可もなく不可もないテレビドラマを見ている感じだった。只券があったので観た。阿部寛が主演。この人イケメンだけど、シリアスなものよりもコメディタッチが似合う気がする。予告編が何本か映されたが、阿部寛さんが出る映画の多いこと。ずいぶん活躍しているのですね。日本橋界隈と川からの風景がよかった。

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2017年8月 6日 (日)

「東京物語」「晩春」を観る

小津安二郎が観たくなってユーチューブで観た。「東京物語」は1953年、「晩春」は1949年の制作。敗戦間もない復興に懸命な東京が映し出される。かつては目が届かなかった風景が面白かった。銀座4丁目の和光が両方に出てきた。コカ・コーラの看板も。「東京物語」で両親が住む尾道の瓦屋根が続く景色がよかった。「晩春」の鎌倉、京都もいい。

原節子はたしかに美しいが、なぜあんなにいつも笑っているのだろう。微笑んでいるというよりもニタニタした感じがあってちょっと引けた。宿で父と娘が一つ部屋で枕を並べて寝る場面は、外国人には驚きだろう。日本語がいまよりは美しかった。

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2017年7月12日 (水)

映画「世界でいちばん美しい村」を観る

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上映後に、監督の石川梵氏が壇上に立った。映画のタイトルがなぜ「世界でいちばん美しい村」なのか、ご覧になってお分かりいただけたと思うが…、とまず話されたが、まさにその通り、納得しました。

2015425日にネパールを襲ったマグニチュード7.8の大地震。その震源地に近い丘陵地帯のラプラック村に写真家でジャーナリストの石川さんは真っ先に飛んだ。そこで目にしたのは悲惨すぎる光景だったけれど、そこに暮らす幼な子から若者、そして年長者にいたるまで、ひとりひとりが信仰厚く、まるでひとつの家族のように助け合い、慈しみ合って生きている姿に感動。石川さんはドキュメンタリーとして映画化する決心をした。映画監督としての初作品。

昔むかしの日本人もこのように美しく生きていたのではないかという思いがひしひしとした。残念ながら私たちが失ってしまった敬虔な祈りを見たように思う。少女の純真な笑顔に魅せられていく。

ヒマラヤ山脈の聖なる山、ブッタヒマールの神々しい姿を石川監督は最初から最後まで、何度も登場させたが、その自然の威容、祈らずにいられない神々しい姿が村人の信仰の象徴のように映しだされる。大地震の前年に私も初めてネパールに行ったが、ヒマラヤ山脈の美しさに畏怖の念を抱かずにいられなかったことを思い出す。たくさんの人に見てほしい映画です。 (ポレポレ東中野で78日~721日まで)

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石川梵さんの活動については、詳しくは下記ホームページをご覧ください。

http://himalaya-laprak.com/special/activity/792/

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2017年2月27日 (月)

ヴィスコンティの「家族の肖像」を観る

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39年ぶりにスクリーンに甦る、デジタル完全修復版、とチラシにある。この映画を最初に観たのは、たしか新宿の武蔵野館だった。ヴィスコンティのことは当時パリに住む浜口画伯から「ベニスに死す」のことなど教えてもらっていた。高校生の時に「若者のすべて」を観ているが、ヴィスコンティという意識はなく、たぶんアランドロンが出ているので観たのだろう。今回「家族の肖像」を観て、思い出す場面がいくつかあったが、30数年の歳月の隔たりによって、受けとめ方がずいぶん違うものだと改めて思う。私自身が年を取ったせいか、老教授の生と死のはざまで揺らぐ複雑な心境がとてもよくわかる気がした。「山猫」の公爵、「ベニスに死す」の作曲家にも一脈通じるものがあるように思う。美に生きた人たち。舞台劇のように終始室内だけで展開。窓からの景色で辛うじてローマだとわかる。このすべてがセットだと知って驚いた。岩波ホールで。

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2017年2月 3日 (金)

映画「人生 フルーツ」を観る

建築家の津端修一さん(90歳)、英子さん(87歳)ご夫妻の日常を追った東海テレビのドキュメンタリー作品。おふたり合わせて177歳なのに、野良仕事をして、自ら育てたおいしいものを食べて、年をとっても生きる工夫がいっぱいの理想の生き方、すてきな映画でした。

「風が吹けば 枯葉が落ちる 枯葉が落ちれば 土地が肥える 土地が肥えれば 果実が実る こつこつ ゆっくり 人生 フルーツ」というナレーションが映画のなかで何度も流れました。

津端さんは東大卒業後、建築設計事務所を経て、1960年代に日本住宅公団のエースとして団地などの都市計画に携わってきましたが、自然との共生を目指した津端さんのプランは経済優先の時代に受け入れられず、彼はそうした方向に距離を置くようになります。そして関わった春日井市の高蔵寺ニュータウンの一隅に300坪の土地を買い、土を耕し野菜や果物を育て、雑木林を作って、いわばスローライフを夫婦で50年、実践してきたのです。

その暮らしぶりがみごとです。

そうしたある日、90歳の津端さんに見ず知らずの人から仕事が舞い込みます。津端さんの思想に共鳴する九州の精神科を経営するドクターからの病院の設計です。津端さんはすぐに図面を描き、仕事はとんとん拍子に進んでいきます。津端さんはこんないい仕事をさせてもらい嬉しい、お金はいりませんときっぱり言います。

そして映画の撮影中に、津端さんが昼寝から覚めず、亡くなったことも克明に写していきます。幸せな最期ですね。そして英子さんは……。映画の反響が大きいので2月半ばまで上映が延長されるとのことでした。ポレポレ東中野で。

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2016年10月11日 (火)

映画「築地ワンダーランド」を観る

移転問題で何かと話題になっている築地市場だが、この映画はそのことと直接関係はない。でも築地はいまや外国人観光客の人気スポットだけに注目される映画だろう。築地市場の夜朝昼を、四季を通して追ったドキュメンタリーだ。漁師がいて、卸業者がいて、仲卸から料理店や消費者へ。築地の仕事に携わるそれぞれの人たちの魚に対する愛情、そして当然かもしれないが、魚を知り尽くしているプロ精神には圧倒された。

 

101日、1日だけの先行公開日に東劇で観たのだけれど、上映の前にプロデューサーや監督、出演した市場関係者らが舞台挨拶をした。食評論家の山本益博さんが築地には蠅一匹いない、と強調したのが印象的だった。最初は邪魔者扱いされた撮影スタッフも、日を追うごとに仲間として受け入れてもらえたのが一番うれしかったと、監督・脚本・編集の遠藤尚太郎氏。築地は早朝から始まるのかと思ったら、夜の11時には動きだすことを知ったし、とにかく関係者の魚への愛情に心打たれた。市場のみんないい顔をしている。数寄屋橋次郎のおやじさんも画面にちらっとでてきた。息子さんがすっかり跡を継いでいる風情で、時代が変わったことを感じた。

 

全体にテンポがちょっと速くて慌ただしい感じがしたけれど、見て損のない映画だった。映画館をでたところで、テレビ局のインタビューにつかまったけど、ノーコメント。たぶん豊洲移転と関連づけて聞きたかったのだろう。そのあと有楽町の魚が売りの居酒屋で飲むことにしていたけど、映画でいい魚を眺めたせいか、刺身の盛り合わせにちょっとがっかり。ま、値段が値段だから仕方ないか。

 

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2016年9月12日 (月)

映画「ラサへの歩き方 祈りの2400km」を観る

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どうして人はこんなにやさしくなれるのだろう、信仰をもつとはこういうことか、としみじみ思った。いい映画だった。チラシに「祈る。歩く。眠る。笑う。シンプルに生きるよろこびが見えてくる。」とある。チベットマルカム県ブラ村。死ぬ前にラサへ巡礼に行きたいという叔父の願いを叶えようとする男に、うちの誰それも連れてってくれ、お前も一緒に行ってきなさい、と、若者、妊婦、女児も加わった老若男女11人の村人が聖地ラサへと出発する。

 

途中産気づいた妊婦が最寄りの病院で出産すると、この子はなんと幸運なのかと皆に祝福される。五体投地をしながら歩く国道をトラックが頻繁に行き来する。彼らの所持品であるテントを支える丸太やストーブ、夜具、食料などを積んだ幌付きのトラクター? が、前方から来た乗用車に追突されて破損しても、怒ることなく、男たちが力を合わせて次の町まで車を手押ししていく。吹雪のなか、菜の花畑のなか。夜は寝る前にテントの中で皆で声を合わせて祈る。女の子が可愛い。大人と一緒になって五体投地をし、テントを張る手伝いをし、水汲みなどを黙々とする。

 

この映画はドキュメンタリーではないけれど、出演しているのは実際の村人たちとのこと。そしてクライマックスは念願だったらラサへの巡礼が叶い、先頭をマニ車を回しながら歩いていた叔父が、テントの中で安らかに死んでいたこと。これも幸運だったと皆が言い合う。生と死が日常の中に自然にある。信仰ということを考えさせてもらった映画でした。渋谷のシアター・イメージフォーラムで。

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2016年8月 5日 (金)

是枝祐和監督の「いしぶみ」を観る

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「ピロスマニ」を観たときに予告編を観て、この映画のことを知った。1969年に広島テレビが制作したもののリメイク版だそう。194586日午前815分原爆投下。爆心地に近いところで勤労動員として作業中だった広島第二中学321人のその時。女優の綾瀬はるかが感情を抑えた、しかし強い声で一人一人の名前を挙げ、ドキュメントを朗読する。私は声にこだわる方で、声がダメな人、特に男の人の場合はそれだけでアウト。この女優さんの声がよかった。木箱を使った画面演出もよかった。池上彰のインタビューに出てきた70代半ばの女性の話は身に堪えた。もしあの時××だったらの思いをずっと背負って生きてこられたのだろう、戦後71年にしてようやく語ることができたのだろう。井上ひさしの「父と暮らせば」を想った。もうすぐその日がやってくる。8月2日ポレポレ東中野で。

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2016年7月 5日 (火)

映画「放浪の画家ピロスマニ」を観る

Img006 絵をみているような美しいシーンの連続で、最後までうっとりと眺めた。この映画は19世紀後半のグルジア(現・ジョージア。トルコの北、黒海の東岸に面した国)の画家ピロスマニ(1862-1918)の半生を描いたもの。ギオルギ・シェンゲラヤ監督が1969年に制作、日本では1978年に劇場公開され(私は知らなかった)、今回はデジタルリマスター・グルジア語オリジナル版として、37年ぶりに日本再上映となったのだそう。

ストーリーはともかく、しっとりした風合いとノスタルジックな画面が強烈な印象として残ります。なかでも味のある木造りの建物や居酒屋の佇まい、伝統的な身なり、人々の暮らしぶりがなんともいい。どこの居酒屋の壁面にもピロスマニの絵が飾ってある。店の看板も描いた。

動物を好んで描き、キリンや牛の澄んだ目がじっとこちらを見据える。そして庶民の日常を様々に描いた絵はアンリ・ルソーのような素朴な味わい。ピロスマニは国民的画家として人々に愛されながらも、自身は生き方が下手だったために孤高の生涯を終えてしまう。

映画の宣伝チラシに「私の絵はグルジアには必要ない。なぜならピロスマニがいるから」というピカソの言葉が載っていた。いい映画でした。ポレポレ東中野で。

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