文化・芸術

2016年9月28日 (水)

1日2軒、本屋が消えている ?

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9月23日、東京国際ブックフェアで林真理子さんの講演を聞いた。氏の週刊文春のエッセイは時々斜め読み、小説は申し訳ないけどほとんど読んでいない。私の守備範囲ではないと決めていたが、いま、毎日新聞に連載の老人ホームの話は時代をうまくとらえていて面白い。で、ちょっと興味をもって聞きに行った。余裕ある林さんの話しぶりは文壇の大御所の貫禄十分、時代は移り変わったなとつくづく思った。

 

本が売れない、本を読まないと言われるようになって久しい。山梨の書店の娘として生まれ、小さいころから本に親しんできた林さんは、いま小さな書店が日に2軒ずつつぶれている現実を嘆く。出版不況などではなく、もはや出版危機であると。ブック& カフェの出現やベストセラー本を大量に購入する図書館の影響で、本は買わずにただで読むのが当たり前の風潮がある。電車のなかではスマホばかり。たまに年配者が本を読んでいるとみると、図書館のスタンプが押してあったりすると。

 

そう、たしかに私も本を買わなくなった。どうしても欲しい本が少ないこともあるし、図書館が家の近くにあるし、おそらく読み切れないし、これ以上モノを増やしたくないし…という気持ちがある。電子書籍がもっと一般に浸透してくれば出版界にもちがった流れがうまれるのか。

林さんの話で頷いたのは、かつて筑紫哲也さんがベストセラーで100万部とか売れる本がある一方で全く売れない本がある両極端の現象は出版界がダメになると言っていたが本当だ、と。最近の傾向はまったくそう。話題になると、そこにだけ集中する。ベストセラーにならなくてもコンスタントに良い作品を世に出していくのがプロの作家の仕事だろうし、良書を見抜く力が読者にも問われている。

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2016年8月13日 (土)

「頭痛肩こり樋口一葉」を観る

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何度も再演されている井上ひさしの代表戯曲。今年は樋口一葉没後120年で、その記念の東宝・こまつ座提携特別公演。この芝居、昔テレビの舞台中継で観ただけで生は初めて。樋口一葉の評伝なのだけれど、それはあくまでも井上ひさし流に捉えた一葉で、一葉の小説に出てくる女性たちを髣髴させ、女であることで自由を阻まれた明治という時代に生きた女性たちへの応援歌となっている。毎年のお盆716日だけの場面を繰り返していく構成のうまさに唸った。出演は女性ばかり6人。脇がそれぞれの持ち味を強烈に出していて、すごい。まさに競演。そこがちょっとひっかかったが。幽霊の衣装の流れる動きが美しかった。こんな幽霊なら会ってみたい。満員御礼の入り。大したものです。シアタークリエで825日まで。劇場の近くにゴジラがいたのでパチリ。向かいの工事現場もすごい。

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2016年8月 7日 (日)

新宿2016エイサーまつり

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7月30日、新宿で集まりがあった日、ちょうど新宿通りでエイサーまつりがあるというので、オオスさんの案内で覗くことになった。新宿通りのスタジオアルタから伊勢丹前あたりまでの5つのスペースで27団体が沖縄の踊りや太鼓を披露する。みな沖縄からきているのかと思ったら、ほとんどは東京周辺の大学のサークルだったり、各地区の老若男女だったり、女性だけのグループだったりといろいろ。でも全体に女性が元気。もう十数年つづいているイベントだとか。盛り上がりはイマイチの気がしたが、次第に人が集まってきて、写真はうまく撮れなかった。夜のイベントも各種あったよう。今月2728日は高円寺阿波踊りですね。

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2016年7月24日 (日)

パルコプロデュース公演「BENT」を観る

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半ばおつき合いの感じで観たのだけれど、そして最初は、ああ、やっぱり新劇調で好きじゃないなと思いながら観ていたのだけれど、次第にぐいぐいと芝居の中に引っ張られていった。胸にドンと響く重いすごい芝居でした。戦争という人間の残虐性がむきだしになったナチの強制収容所で知り合った同性愛者同士の究極の愛、精神愛、人間の尊厳…。休憩のあとの2幕目がよりシンプルで核心に迫る。主演の佐々木蔵之介も北村有起哉も坊主頭で囚人服。石をただ右から左へ、そしてまた左から右へと運ぶだけの意味のない作業を強いられた2人の作業現場。その石を運びながらの会話がいい。作業の休憩時は監視員のいるまっすぐ前方を見て立っていなければならない2人。並んで立つ2人は正面をみながら言葉だけのエアセックスで結ばれる。そして最後は……。

芝居のあと、楽屋で北村有起哉さんにお会いすることができたけど、役作りのために10キロ痩せたとのこと。舞台で使う石は本物なので(本物の音がした)、重いので運ぶのに腰を痛めないように膝をついてから下す工夫をしているなど、体重を減らしたり、坊主頭になったり、役者さんはホントに大変ですね。観客はこまつ座よりも若い人が断然多かったよう。7月20日、世田谷パブリックシアターで。

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2016年7月20日 (水)

2016 日本マイム研究所公演を観る

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演目はカフカの「審判」とシェイクスピアの「マクベス」。「審判」は佐々木博康さんの独演。照明によってパネルに映される主人公の影の動きが主人公の状況心理を巧みに表現していた。プログラムには「現代人の孤独と不安と絶望の形而上学を表した作品」とある。「マクベス」も数枚のパネルをうまく使った演出だったが、ちょっとごたごたした感じになったのが残念。研究員総出の熱演。

佐々木さんはいつだったかご自身を後期高齢者になりました、と笑っておられたが、とてもとてもそうは見えないフォームの美しさ。日ごろの鍛錬のたまものである。難しいものに挑んでいく姿勢もすばらしい。舞踏家・大野一雄のように100歳までも演じていただきたいもの。712日、江戸東京博物館で。

 

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2016年7月18日 (月)

こまつ座「紙屋町さくらホテル」を観る

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いい芝居でした。心に残る芝居でした。何といっても井上ひさしの脚本がぴか一。難しいテーマをやさしく、面白く、笑いに包んで。ひとつひとつの台詞がうわっ、すごい、と思いつつ観た。原爆投下3か月前の広島での移動演劇隊「さくら隊」のお話。国策として組織された寄せ集め団員「さくら隊」の演技指導をするのは築地小劇場の丸山貞夫と宝塚出身の園井恵子。その舞台稽古の風景がじつにリアルで楽しい。そこに天皇の密使の経歴を持つ海軍大将や特高刑事も行きがかり上芝居をすることになり……。戦時下の厳しい言論弾圧の中、それぞれ複雑な立場で芝居とかかわっていくが、人間はみな同じという温かい思いにさせてくれる。最初と終わりが巣鴨プリズンの場面。出演している俳優さんたちのことはよく知らないが、海軍大将役の存在はわさびが利いていたし、ホテルの女主人役がいい味を出していた。拍手喝采。前の席に井上麻矢さんと高円宮久子さんが。(紀伊國屋サザンシアターで。724日まで)。

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2016年3月28日 (月)

旧前田侯爵駒場本邸を見学

3月26日、駒場公園にある旧前田家の洋館で講演会があった。演題は「第13代加賀藩主・前田斉泰(やすなり)の能登巡見の旅」。講師は能登の語り部、藤平朝雄氏。嘉永6(1853)年、前田斉泰公が700人のお伴を引き連れて旅した能登巡見22日間がどんな旅であったかを、スクリーンに画像を映しながら、まるで見てきたかのごとく話され、退屈しなかった。江戸楽会として参加。

講演後はボランティアガイドさんによる洋館、和館の見学。建物の由来についてはチラシにこうある。「この建物は、旧加賀百万石前田家の第16代当主前田利為(としなり)侯爵の本邸として昭和4(1929)年に技術の粋を集めて建築され、当時東洋一の邸宅と称されました。基本計画は、東京帝国大学教授であった塚本靖、設計は宮内省の担当技師であった高橋貞太郎が担当し、駒場の田園の野趣にあわせたイギリスのチューダー様式を取り入れています」。洋館ながら日本の伝統的文様もとり入れてあり、しっとりした落ち着きが感じられる。細部まで丁寧な造りで、匠の技が見事。当主は洋館2階を暮らしの場にし、和館は外国からのゲストのために造られたそう。戦後一時GHQに接収され、昭和39(1963)年に東京都の所有となった。

花冷えの日だったが、洋館から外を眺めると、桜が三分ほど咲いて、三々五々人が集まって賑わっていた。入場無料。一見の価値あり。

渋谷にでると、世界的に有名になった例の交差点の人のすごさに圧倒された。土曜日のせい? 春休みのせい? いや東京の繁華街はどこも人で溢れている。予約していた鹿児島料理の店で、8人で食事、おしゃべり。

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2016年2月24日 (水)

林芙美子記念館

数寄屋造りの建物がいいわよ、と聞いていたので、一度訪ねてみたいと思っていた。物資の乏しい昭和16年に建てたとは思えない、隅々まで贅を凝らした家だった。ここ新宿区中井周辺は空襲で焼けなかったのですね。

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林芙美子の小説は「放浪記」と「浮雲」くらいしか読んでいないけれど、森雅之、高峰秀子主演の映画「浮雲」は名画座で観た。こまつ座の芝居「太鼓たたいて笛ふいて」(2014.2)で林芙美子を演じた大竹しのぶがよかった。森光子のあのでんぐり返しの「放浪記」はテレビで観た。

むかし改造社編集部で林芙美子を担当していたという私の師匠は、林芙美子が書斎で執筆に疲れると机に片手を伸ばしてうつぶせになるクセがあったことを森光子さんに教えたら、そのしぐさが芝居に生かされていたという話を聞いたことがある。

 

画家であった夫緑敏のために造ったアトリエ(現展示室)には、画家になりたかったという林芙美子の描いた自画像が飾ってあった。Cimg2137


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2016年1月28日 (木)

マイムロマン劇場

大爆笑演歌シリーズと銘打った、新年にふさわしい演目。日本マイム研究所の2016年初のアトリエ公演。狭い会場で肩寄せ合って観た。

最初の「長崎は今日も雨だった」を観て、これはアカンと思ったけれど、というのは、歌の筋を追う感じがつまらないなと思ってしまったのだけれど、しだいに単純に面白くなった。「岩壁の母」の息子を待つ母親、「王将」の将棋を指すふたり、「天城越え」の凄味、それぞれにコミカルな味が加わって、観客のみなさん、遠慮してか大爆笑とまではいかなかったが、曲を追うごとに笑いが大きくなっていった。

今回採りあげた演歌10曲は、佐々木博康さんの独断による選曲で、カラオケで好んで歌う曲でもあるらしい。演歌もいいものですよ、と佐々木さん。

2番目の「星の流れに」(歌・菊地章子)の歌詞を聴いていて、アレ? 星の流れに身を占って、をずっと身を任せと思っていた、と気づいた。向田邦子が「荒城の月」のめぐる盃を眠る盃と覚えていたのと似たようなものか。どの曲も聴き覚えがあって懐かしかったけれど、若い人にはどうだったろう。演歌とマイム、新鮮だったかも。楽しませていただきました。

 

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2015年12月12日 (土)

バーチャル・スクリーンで システィーナ礼拝堂を観る

すごい迫力だった。座ったまま浮遊するような感覚でシスティーナ礼拝堂の天井画に近づいて行く。そこから右や左や下方へ自由自在。最初はナビゲーターの女性が解説しながらタブレットを操作していたが、「どなたかやってみませんか」と、一番前の真ん中に座っていた私に操作のお鉢が回ってきた。壁面の「最後の審判」に移動して天国と地獄の分れ道をなぞったり、地獄の門番を見せて、の声に応じて右下に降りたり、また天井に戻ったり。

システィーナ礼拝堂は何度も実際に見ているが、こんなにあからさまに絵を見たのは初めて。距離を置いて下から見上げることを計算に入れて描いたミケランジェロも、自分の作品が500年後にこんなかたちで見られていることに驚いているのでは? 科学技術の進歩は芸術の在り方をも変えていく。

 

このバーチャル・スクリーンはトッパン印刷の博物館で鑑賞できるのだが、鑑賞前に印刷博物館を見学した。はじめに博物館全体についての丁寧な説明があり、そのあと自由に展示物を見て回った。印刷物は私たちの生活に身近すぎるせいか、その歴史や技術的なこととなるとあまり関心を寄せないと言っていい。

印刷というとまずグーテンベルクの名が出るが、それより遥か遥か以前の日本に、木版による世界最古の印刷物があったという。770(奈良時代)に、百万塔陀羅尼の経文を百万部刷ったのだという。きれいな印刷にいやー驚きました。知りませんでした。勉強になりました。

 今回の見学と鑑賞は朝の勉強会の吉田さんがすでに体験され、その素晴らしさをみなさんにも味わってほしいと企画してくださり実現したもの。26人でおおいに楽しんできました。

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