映画「ラサへの歩き方 祈りの2400km」を観る
どうして人はこんなにやさしくなれるのだろう、信仰をもつとはこういうことか、としみじみ思った。いい映画だった。チラシに「祈る。歩く。眠る。笑う。シンプルに生きるよろこびが見えてくる。」とある。チベットマルカム県ブラ村。死ぬ前にラサへ巡礼に行きたいという叔父の願いを叶えようとする男に、うちの誰それも連れてってくれ、お前も一緒に行ってきなさい、と、若者、妊婦、女児も加わった老若男女11人の村人が聖地ラサへと出発する。
途中産気づいた妊婦が最寄りの病院で出産すると、この子はなんと幸運なのかと皆に祝福される。五体投地をしながら歩く国道をトラックが頻繁に行き来する。彼らの所持品であるテントを支える丸太やストーブ、夜具、食料などを積んだ幌付きのトラクター? が、前方から来た乗用車に追突されて破損しても、怒ることなく、男たちが力を合わせて次の町まで車を手押ししていく。吹雪のなか、菜の花畑のなか。夜は寝る前にテントの中で皆で声を合わせて祈る。女の子が可愛い。大人と一緒になって五体投地をし、テントを張る手伝いをし、水汲みなどを黙々とする。
この映画はドキュメンタリーではないけれど、出演しているのは実際の村人たちとのこと。そしてクライマックスは念願だったらラサへの巡礼が叶い、先頭をマニ車を回しながら歩いていた叔父が、テントの中で安らかに死んでいたこと。これも幸運だったと皆が言い合う。生と死が日常の中に自然にある。信仰ということを考えさせてもらった映画でした。渋谷のシアター・イメージフォーラムで。
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