1日2軒、本屋が消えている ?
9月23日、東京国際ブックフェアで林真理子さんの講演を聞いた。氏の週刊文春のエッセイは時々斜め読み、小説は申し訳ないけどほとんど読んでいない。私の守備範囲ではないと決めていたが、いま、毎日新聞に連載の老人ホームの話は時代をうまくとらえていて面白い。で、ちょっと興味をもって聞きに行った。余裕ある林さんの話しぶりは文壇の大御所の貫禄十分、時代は移り変わったなとつくづく思った。
本が売れない、本を読まないと言われるようになって久しい。山梨の書店の娘として生まれ、小さいころから本に親しんできた林さんは、いま小さな書店が日に2軒ずつつぶれている現実を嘆く。出版不況などではなく、もはや出版危機であると。ブック& カフェの出現やベストセラー本を大量に購入する図書館の影響で、本は買わずにただで読むのが当たり前の風潮がある。電車のなかではスマホばかり。たまに年配者が本を読んでいるとみると、図書館のスタンプが押してあったりすると。
そう、たしかに私も本を買わなくなった。どうしても欲しい本が少ないこともあるし、図書館が家の近くにあるし、おそらく読み切れないし、これ以上モノを増やしたくないし…という気持ちがある。電子書籍がもっと一般に浸透してくれば出版界にもちがった流れがうまれるのか。
林さんの話で頷いたのは、かつて筑紫哲也さんがベストセラーで100万部とか売れる本がある一方で全く売れない本がある両極端の現象は出版界がダメになると言っていたが本当だ、と。最近の傾向はまったくそう。話題になると、そこにだけ集中する。ベストセラーにならなくてもコンスタントに良い作品を世に出していくのがプロの作家の仕事だろうし、良書を見抜く力が読者にも問われている。
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