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2016年5月22日 (日)

エルマンノ・オルミの「緑はよみがえる」を観る

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あの「木靴の樹」のエルマンノ・オルミ監督の最新作。オルミ監督が父親から聞いていた戦争の話を映像化した。
1917年冬、第一次世界大戦さなかに体験した実話。とはいっても派手な戦いが描かれるわけではない。ほとんどが厳寒の過酷な環境の塹壕の中で繰り広げられる兵士たちの日々だ。暗い画面がずっと続く。芝居の舞台のよう。

死と背中合わせの兵士たち、生きて帰還しても、あとは死を引きずって生きることになる彼ら。唯一の楽しみは家族や恋人からの手紙だけ。なぜ人間同士がむごい戦いをするのか。

自然には緑の季節が必ず訪れるように、人の世界にもそんな日がよみがえるのか。生死の際におかれた時の信仰の力を感じさせられた。戦争を美化も誇張もなく描いて見せたところは井上ひさしの「父と暮らせば」に共通したものを感じた。

 

オルミ監督の映画は40年近く前に「木靴の樹」、数年前のイタリア映画祭で「ポー川のひかり」を観ているが、忘れることのできない場面が多い。「木靴の樹」の豚や鶏を処理する場面、「ポー川のひかり」の散乱した夥しい古書すべてに釘が打ちつけてある場面など。今回の映画では冬の美しい山と満月。そこに響く歌。岩波ホールで。

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