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2016年3月19日 (土)

映画「夏をゆく人々」「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」を観る

Photo_22本ともいい映画だった。「夏をゆく人々」の原題は「Le Meraviglie」(驚くべきこと)。イタリアのトスカーナの田舎が舞台であること、イタリア語が聞きたかったことが観た動機。養蜂家一家のひと夏の出来事を描いている。4人姉妹の長女ジェルソミーナはしっかり者で働き者。妹たちはまだ幼い。頑固で仕事一徹の父親の片腕となって養蜂を手伝う。ある日村にテレビ局の取材が入ったことで、一度も父親に反発したことのなかったジェルソミーナが自分の考える道を選ぼうとする。父娘の葛藤と愛情。ああ、トスカーナの田舎にはこんな家族が暮らしているんだなというリアリティがあった。実際、この映画には若い女性監督の実体験が深く投影されているらしい。それほど難しい会話もないので、イタリア語が耳に心地よかった。

 

もう一本はおまけで観た映画だったが、これがまた面白かった。シカゴの青年がオークションで15万枚という大量の旧いネガフィルムを入手する。ヴィヴィアン・マイヤーというこのフィルムの撮影者・持ち主がどういう人物だったのか、ウェブサイトで検索しても全くヒットしない。しかしブログで何点かを紹介してみると、たちまち写真に魅了された人たちからすさまじい反響が起こった。 わずかな手掛かりをもとに、ヴィヴィアン・マイヤーを探しもとめていく過程を青年自らが監督しているドキュメンタリー。Photo


生前の彼女を知っている人を見つけ、次々とインタビューしていくが、浮かび上がってくる人物像は奇人変人。だが画面に映し出される彼女の写真はじつにすばらしい。何気ない日常を温かく鋭く切り取った作品はパリの写真家ロベール・ドアノ―以上だ。なのに、なぜ、彼女は生前に一度も世に作品を発表しようとしなかったのか。謎のままだ。 この映画で教えてもらったのは、写真作品というものは、写真家自身が現像焼き付けしたものでなければ価値を認めない(一部の例外を除く)という事実。MoMAのような大きい美術館に買い取りを持ちかけても、相手にしてもらえなかったらしい。青年は行動を起こす。ニューヨーク、ロンドン、とあちこちで写真展を開き、大人気を勝ち得ていく。これから先、ヴィヴィアン・マイヤーはどう評価されていくのか、美術館の対応は?  興味深い。(早稲田松竹で)

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