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2015年8月21日 (金)

西村匡史著『悲しみを抱きしめて 御巣鷹・日航機墜落事故の30年』を読む

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812日。520名の命を奪った衝撃の事故から30年。愛する家族をとつぜん失った遺族はどんな思いでこの30年を生きてこられたのか。30年という時の流れをまず思います。悲しみを抱きしめて…という表現、ほんとにそう、悲しみを抱きしめながら、多くの人たちと支え合って、前に進んでこられたのだと思います。30年という時を経て、はじめて表現できたこともあったことでしょう。

 

事故当時8歳だった著者の西村匡史氏はTBSテレビ報道局記者となり、18年後に墜落現場を取材。その後、氏はプライベートにも慰霊登山をつづけ、何人かの遺族と親しく交流するまでになりました。その人たちの心の底にある想いを丁寧に掬いあげてまとめたのが本書です。そして遺族のみならず、墜落現場となった上野村の村長や村人の献身的な働き。加害者側である日航社員と遺族のあいだに芽生えた温かい交流がいまも続いていることなども紹介しています。

また遺族が立ち上げた8.12連絡会の在り方も注目に値します。その後の事故の遺族会のモデルとされている大きな要因は会を補償問題の窓口にしなかったこと、事故を刑事責任として追及するのではなく、このような悲劇が二度と起きないようにと原因究明に力を注いだことでしょう。

事故後30年の真実を精魂込めてとらえた著者の姿勢が読後感を爽やかなものにしています。

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