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2015年3月22日 (日)

加藤郁乎編『荷風俳句集』(岩波文庫)を読む

自選荷風百句(実際は118句)に718句を加え、さらに狂歌95歌も加えて通し番号で931作品、それに小唄他、漢詩、随筆、写真と俳句、を含めて全体が構成されている。編者の詩人・俳人加藤郁乎は残念ながら20125月、この本の刊行を待たずに亡くなられたが、俳人荷風をみごとに浮き彫りにしてくれた。そして私にとっては荷風の俳句がどうこうというよりも、漢詩や俳句が文章家荷風の礎となっていることがよく理解できたし、池澤一郎氏の解題がたいへん参考になった。

 

荷風は20歳の時から亡くなるまでの60年、俳句に親しんだ。「人生には三つの楽しみがある、一に読書、二に好色、三に飲酒と『日乗』かどこかに書いてあったが、みずから恃むところ高き散木荷風には文事淫事を問わず市井人事のことごとくが四季とりどりの句となり得た、それでよいではないか。」と郁乎は書く。

色町や真昼しづかに猫の恋 荷風

下駄買うて箪笥の上や年の暮れ 荷風 

同書で随筆として掲げてあるのが「雪の日」。私はこの作品の湿り感、浮世絵の江戸を観るような情趣が好き。このなかにも小唄や俳句が効果的に使われている。荷風の作品は随筆か小説か区別できないところがあり、随筆体小説などといわれるが、「雪の日」は小説のようでもある。

 

荷風撮影の写真と俳句の組み合わせもうれしい。大正から昭和初期の下町の景色、建物や看板、風俗がよく分る。

 

先にこのブログ(201310月)で加藤郁乎著『俳人荷風』を採り上げたが、荷風の俳句にそれほど注目してはいなかった。しかし最近、俳句に少しばかり興味を持ち始めたこともあって、わたしの荷風はまたまた深間に陥ってたいへんである。

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