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2014年9月 7日 (日)

こまつ座「兄おとうと」を観る

Img001_558x800大正年間に活躍、民主主義を唱えた政治学者・思想家で東大教授だった吉野作造の音楽評伝劇。初演は2003年。井上ひさしは仙台に住んだことがあり、宮城県出身の吉野作造は仙台二高の大先輩に当るという。吉野作造の弟の吉野信次は10歳年下で高級官僚から大臣になった。兄弟2人とも頭がよく、いずれも東大を首席で卒業。大正デモクラシーの担い手の作造は「政治は国民の考えに基づいて行われるべき、」と、民衆の立場から世の中をよくしていこうとの理想に燃え、一方有能な役人になった弟は上からの政策によって世の中をつくろうとする、思想が相反する立場。2人が会えば激論になる…。

理屈っぽい芝居を想像していたが、さすが井上ひさし。「国も一つのおにぎりに似ている。何を芯にして一つになるのか、そこが大切なんだ」と説く国家論など、井上ひさしが自戒とする「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめにかくこと」その通りの芝居だった。因みに吉野作造の妻と弟信次の妻は実の姉妹だったのですね。笑いあり涙あり、歌も踊りもあって、井上ひさし戯曲の真骨頂。最近の役者さんは歌も踊りもたいしたものです。

そして「集団的自衛権」「解釈改憲」が云々される今、「いかなる場合も憲法は法律に優先する。憲法とは人々から国家に向って発せられた命令である」と、憲法の大切さを論じてきた井上ひさしの先見の明に瞠目。

井上ひさしの評伝劇にはほかに松尾芭蕉や小林一茶、樋口一葉、夏目漱石、小林多喜二、林芙美子などたくさんある。

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