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2014年5月24日 (土)

古屋健三著『永井荷風 冬との出会い』を読む

荷風は明治431910)年、31歳の時に慶応義塾大学文学科の教授となり、「三田文学」を創刊した。著者の古屋氏は荷風にあこがれて慶大に入り、この本の執筆当時は慶応義塾大学文学部(フランス文学)教授で元三田文学の編集長だった。表題の「冬との出会い」とは何を意味するのだろう。「戦後の無に直面して荷風の世界も無残に崩壊するのである。」「『濹東綺譚』は喪失の秋を前にした夏の夜の夢物語といえるだろう。そのはかない美しさは、早くも秋の風の前触れに戦いている盛夏の夕景を思わせる。ちなみにこの後、日本は長い、凍てついた冬に入る。」「荷風は、夢はしょせん夢にすぎないことを、夢を見ながらも知っていたのである。いわば、荷風は覚めながら夢をみていたのであって、このように荷風の夢は現実に完全に否定されることによって、はじめて純粋な夢となりえていた。」ということか。荷風の作品や関連資料を多用引用しながらその世界を解き明かしてくれるのだが、私には細かすぎて、こうした学者先生的評論はどうも苦手。なかなか先に進めなかったが、得るところは大でした。四六判430ページの労作。

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