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2014年5月

2014年5月26日 (月)

内田洋子著『カテリーナの旅支度』を読む

この人の本を読むのは三冊目。丸谷才一ふうにいえば小説めかした随筆とでもいえようか。彼女独特のスタイルで、読みはじめて前の本と同じ調子だな、期待ほどでもないかな、との感想をもったのだけれど、途中からやっぱり面白いと。それは著者の好奇心が半端でなく、身軽に行動し、どこにでももぐりこみ、イタリア人の複雑な人間模様とそこに垣間見られる本音の暮らしぶりを見せてくれるからだ。イタリア二十の追想という副題がついていて、表題の「カテリーナの旅支度」は最後の章。キャリアを積み、富と名声を得た女性。だがふと気づいたら家族も友も離れて孤独の身という身につまされる物語。どの話も映画をみているように映像として残りました。

 

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2014年5月24日 (土)

古屋健三著『永井荷風 冬との出会い』を読む

荷風は明治431910)年、31歳の時に慶応義塾大学文学科の教授となり、「三田文学」を創刊した。著者の古屋氏は荷風にあこがれて慶大に入り、この本の執筆当時は慶応義塾大学文学部(フランス文学)教授で元三田文学の編集長だった。表題の「冬との出会い」とは何を意味するのだろう。「戦後の無に直面して荷風の世界も無残に崩壊するのである。」「『濹東綺譚』は喪失の秋を前にした夏の夜の夢物語といえるだろう。そのはかない美しさは、早くも秋の風の前触れに戦いている盛夏の夕景を思わせる。ちなみにこの後、日本は長い、凍てついた冬に入る。」「荷風は、夢はしょせん夢にすぎないことを、夢を見ながらも知っていたのである。いわば、荷風は覚めながら夢をみていたのであって、このように荷風の夢は現実に完全に否定されることによって、はじめて純粋な夢となりえていた。」ということか。荷風の作品や関連資料を多用引用しながらその世界を解き明かしてくれるのだが、私には細かすぎて、こうした学者先生的評論はどうも苦手。なかなか先に進めなかったが、得るところは大でした。四六判430ページの労作。

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2014年5月17日 (土)

風呂敷講座

1024x709 いちばん最近風呂敷を使ったのはいつだったかしら。記憶にないほどです。風呂敷を使う場面は日常生活からほとんど消えてしまったといっていいでしょう。その風呂敷を日本美再発見のツールとしてひとりでも多くの人に伝えたいと活動されているのが風呂敷・和文化コンシェルジュのつつみ純子さん。その講座が朝の会でありました。実際に包み方を見せていただくと、ワインボトルや本の包み方はまるで手品のよう。日本人の美意識、知恵のすばらしさをあらためて思い知らされました。エコバックもよいけれど、風呂敷ならもっと応用範囲も広く楽しめそうです。

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映画「A2-B-C」を観る

Img003_719x1024 この映画のチラシに「日本在住のアメリカ人監督イアン・トーマス・アッシュがカメラにおさめたフクシマ。フクシマで生きる子どもたちに、今何が起きているのか」とある。「A2」「B」「C」とは甲状腺検査の判定レベルを示すことを初めて知った。311後、監督は事実を知りたい一心で福島へと向かう。目に見えない放射線の怖さ。避難が遅れた地区の子どもたちに当初よりも一年後に甲状腺に嚢胞が認められる「A2」が明らかに増えているという事実。住居周辺などの部分的な除染がいかほどの効果があると言うのか。母親たちの心配、苛立ちがひしひしと伝わってくる。それでもランドセルに放射線量測定器をぶら下げた子どもたちはカメラに笑顔を見せて明るい。その子どもたちを監督は丁寧に追っていく。

コミックマンガの「美味しんぼ」の表現に賛否両論あるという。私は見ていないので語る資格はないけれど、この映画の取材の中で大量の鼻血が出たという証言が複数あった。放射線と鼻血の因果関係が明確でないとはいえ、最優先すべきは人の命、風評被害を助長するという考えはおかしいのではないか。東京でぬくぬくと暮している私、とにかく原発事故の事実を決して忘れないこと。些細なことでも行動を起こすこと、を肝に銘じました。ポレポレ東中野で上映中(5月下旬まで?)。

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2014年5月 5日 (月)

2014年荷風忌

4月30日は永井荷風の命日。あいにくの雨だったが、三ノ輪の浄閑寺に行く。法要のあとの講演は『永井荷風の生活革命』『荷風へ、ようこそ』『朝寝の荷風』などの著書で荷風のイメージを一変させた持田叙子さんのお話、行かないわけにいかない。それに雨は荷風にふさわしい。演目は「永井荷風の詩心と批評」。持田さんが選んだ荷風作品の一部を俳優座の川口哲史さんが朗読、持田さんが解説された。みごとな朗読に情景が彷彿とする。近代詩に衝撃を与えた訳詞集『珊瑚集』とレニエについて、随筆「花より雨に」「冬日の窓」、小説「牡丹の客」、そして「断腸亭日乗」を引用しての荷風の冷静な批評精神について。持田さんのあのしなやかな文体そのものの話し方と愛らしいお声が耳に残りました。

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私の散歩道

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数日ウォーキングを怠けているうちに、黄色いタンポポが綿帽子になり、赤いツツジだけが咲いていた階段道も白いツツジが満開になり、若葉が緑を濃くし、光り輝いている。緑の風。散歩コースはその日の気分しだいだけれど、最近は2カ所のポイントを外せない。チャオ
! とワンちゃんたちに挨拶するためだ。1匹は大型犬のコリー。もう1匹が小型犬のパピヨン風。2匹ともしばらくはこちらがチャオと声をかけても知らん顔していたのだけれど、しつこく挨拶するものだから根負けしたようで、今では尻尾を振り、体を撫でさせてくれるまでになった。パピヨン風はいつ行っても広いサークル内のハウスで寝ている。散歩に行っている気配がない。さみしい目をしている。だから変なおばさんを今日も待ってくれてるかと思うと、会うために散歩に行く気になる。そしておよそ7000歩で帰ってくる。

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春のタンポポ

黄色いタンポポがそこかしこに可愛く咲いていたのに、今日は全部綿帽子に変身していた。先日、丸の内さえずり館で小原芳郎さんの「春のタンポポ物語」を聴いた。タンポポは受精すると茎がいったん倒れ、また立ちあがる。危険回避と省エネ。種の保存のためにはあらゆる工夫をこらす。小原さんのお話は以前にもうかがっているけれど(20123月タンポポの一生参照)、植物オンチには何度聴いても勉強になる。タンポポにかぎらず、動植物の理にかなった見事な生き方には感心するばかりです。Photo

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