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2013年9月14日 (土)

佐々涼子著『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』を読む

Img001_553x800トルコのカッパドキアで日本の女子大生ふたりがハイキングの途中に狙われ、1人が死亡するという痛ましい事件があった。その亡くなった女性の遺体がご家族とともに日本に戻るというニュースを見て、最近読んだ表題のこの本を思いだしたのでした。

おそらくこの亡くなった女性は日本に戻ってきたら、まず国際霊柩送還士という人たちに委ねられたあと、家族に引き渡されるのだろうなぁと。国際霊柩送還士の仕事とは、不幸にして海外で事故などにあって亡くなった場合に、国によって遺体輸送などの手続きが違う。その困難な事務手続きなどをすべて引き受け、日本に送還されたら、エンバーミングを施してご家族のもとに届ける仕事だ。「おくりびと」という映画で納棺師の存在が話題になったが、国際霊柩送還士という聞き慣れない名もまだ適当な日本語訳がないのだそうだ。著者は日本で唯一この仕事に携わっている会社に何度も取材を申し込んだが、なかなか許可を貰えず、ようやくゴーサインをもらってまとめた本だという。

中心的人物として登場する利恵という女性の存在抜きにこの仕事は語れない多くのドラマを含んでいる。遺族の心を汲み、陰で支えていく仕事。遺体の顔が崩れていてほとんど見分けがつかない状態でも、彼らは写真を見ながら見事に復元していく。そしてあたかも生きているように再現されて、どんなに多くの遺族から感謝されてきたことだろうか。

ただ、このエンバーミングについては、もう20年近く前のことだが、知り合いの年配の女性が亡くなった時に、きれいに化粧された顔を見て、違和感を覚えた記憶がある。というのは、その女性はもともと美しい人で、日頃の化粧も自然な感じだったので、血色のよすぎる厚化粧が不自然に思えたのでした。あれから20年、その辺の技術もおおいに進化しただろうことは想像に難くないが、その程度問題については議論のあるところだろう。

この大変な仕事にスポットを当てた本書は開高健ノンフィクション賞を受賞しています。

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