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2013年9月

2013年9月29日 (日)

「終わりから始まるものがたり 25の問いと100冊の本」展

Img002_563x800_2この夏、全国各地で集中豪雨や竜巻に見舞われて、その都度「これまで経験したことのない」という言葉を耳にした。この自然災害は人間の身勝手から自然を操作した結果であり、地球の悲鳴のように私には思える。

そんなとき、日比谷図書文化館で表題の展覧会を観た。同展は日本科学未来館で昨年開かれた企画展「世界の終りのものがたり もはや逃れられない73の問い」を再構成したものだそうで、図書館司書が選んだ関連書が100冊紹介されていた。入り口でまずノートを渡され、25の問いに自分なりの答を書き込めるようになっている。ノートだけでなく、会場に置かれてあるコンピュータ画面に打ち込んだり、ポストイットに書いて張りつけたり、短冊に書いて木に結んだり、観客参加型の展示。「地球の終わりを想像したことがありますか」「どのような最期を望みますか」「あなたにとって永遠なものはなんですか」「人はなせ進歩しようとするのでしょう」など、即座には答えられない哲学的命題ばかり。参加した人の想いを、なるほど、そうかな? などと受けとめてきましたが、これからの日本は、世界は、地球は、宇宙は…と考えていくと、人間のサイクルの短かさ、儚さを思い、そのなかで人間は矛盾を抱えて生きている生き物であることをいまさらのように思いました。(日比谷図書文化館で1014日まで)


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2013年9月23日 (月)

清水保さんの絵画作品

大船の鎌倉芸術館で第29回の絵香会絵画展が開かれていますが(925日まで)、この絵香会で油彩、水彩、デッサンの3教室を指導されているのが清水さんです。造形作家、故・清水慰さんの夫君。同氏の作品の写真がいくつか手元に揃いましたので、ここにご紹介したいと思います。Cimg1395_1024x860_800x672
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「金閣寺の幻想」は今年の「たぶろう展」で文部科学大臣賞を受賞した作品。今回の絵香会展に新作「教会の思い出」と並べて出品、東西の宗教建築を対比させているところが面白かったです。ともにP130号。

もうひとつの教会の絵はイタリア・アッシジの聖フランチェスコ教会(F20号)、そしてもう1点は「彼岸花の記憶」(F30号)。この2点は写真でしか拝見していないのですが、いずれも隅々まできちっと描かれていて、そのお人柄が窺えました。Img001
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今回の絵香展には慰さんの墨絵作品も何点か展示されていましたが、その1枚が、「祈り」(P12号)。癒される絵でした。併せてご紹介いたします。Cimg1396_648x800

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2013年9月21日 (土)

大野茂男著『荷風日記研究』を読む

永井荷風は、1952(昭27)年に文化勲章を受けたさい、自分の作品で後世に残る唯一のものが『断腸亭日乗』かもしれないと語っています。荷風は関東大震災、そして東京大空襲、その後も疎開先の明石や岡山で何度も空襲に遭っていますが、いつも肌身離さず持って逃げたのがこの日記です。中村真一郎は「作者永井荷風は文学者荷風という架空な想像上の人物を長い年月をかけて創造したのである」と書いていますが、まことに同感。普通の日記とは訳が違うのです。

その日記を、著者は「人間関係から見た断腸亭日乗」という、登場する人物に焦点を当てて分析しています。学者らしい冷静な見解が基調として流れています。

荷風全集は岩波書店版、中央公論社版、東都書房版とあって、それぞれ加除訂正、複雑ですが、著者はどこがどう違うかを抽出対照して表にしています。家人や勤務先の大学の学生の手も借りたといいますが、その根気のいる作業を成し遂げたことに驚くばかりです。さらに110ページに及ぶ人名索引にも唯々恐れ入りました。荷風さんがこれをみてどう評するかはともかく、荷風ファンにとってはまことにありがたい資料ではあります。1984(昭51)年、笠間書院刊、菊判491ページの労作。

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2013年9月14日 (土)

佐々涼子著『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』を読む

Img001_553x800トルコのカッパドキアで日本の女子大生ふたりがハイキングの途中に狙われ、1人が死亡するという痛ましい事件があった。その亡くなった女性の遺体がご家族とともに日本に戻るというニュースを見て、最近読んだ表題のこの本を思いだしたのでした。

おそらくこの亡くなった女性は日本に戻ってきたら、まず国際霊柩送還士という人たちに委ねられたあと、家族に引き渡されるのだろうなぁと。国際霊柩送還士の仕事とは、不幸にして海外で事故などにあって亡くなった場合に、国によって遺体輸送などの手続きが違う。その困難な事務手続きなどをすべて引き受け、日本に送還されたら、エンバーミングを施してご家族のもとに届ける仕事だ。「おくりびと」という映画で納棺師の存在が話題になったが、国際霊柩送還士という聞き慣れない名もまだ適当な日本語訳がないのだそうだ。著者は日本で唯一この仕事に携わっている会社に何度も取材を申し込んだが、なかなか許可を貰えず、ようやくゴーサインをもらってまとめた本だという。

中心的人物として登場する利恵という女性の存在抜きにこの仕事は語れない多くのドラマを含んでいる。遺族の心を汲み、陰で支えていく仕事。遺体の顔が崩れていてほとんど見分けがつかない状態でも、彼らは写真を見ながら見事に復元していく。そしてあたかも生きているように再現されて、どんなに多くの遺族から感謝されてきたことだろうか。

ただ、このエンバーミングについては、もう20年近く前のことだが、知り合いの年配の女性が亡くなった時に、きれいに化粧された顔を見て、違和感を覚えた記憶がある。というのは、その女性はもともと美しい人で、日頃の化粧も自然な感じだったので、血色のよすぎる厚化粧が不自然に思えたのでした。あれから20年、その辺の技術もおおいに進化しただろうことは想像に難くないが、その程度問題については議論のあるところだろう。

この大変な仕事にスポットを当てた本書は開高健ノンフィクション賞を受賞しています。

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2013年9月 8日 (日)

なんと、コトン母さんが帰ってきた

ある朝、「コトンが来てる!」と姉の声。ええーっ、ウソー、どうしたの、信じられないとしか言葉にならない。私たちはもうコトンはこの世にいないと決めつけていたのだ。716日に姿を消して、戻ってきたのが826日。40日間の空白。どこで何をしていたのか。本人は空白などなかったかのようにエサを要求して、ガツガツ食べるだけ。雄猫ならどこか旅に出て修行してきたとも考えられるが、そんな気配はない。ひと回り小さくなったようだけど、小ぎれいで、どこも具合悪そうでもない。

我々の結論はきっといい処を見つけてご飯を貰っていたけれど、何かの都合でまた戻ってきたのだろう、だった。それにしても、10年間、我が家でご飯を食べ、ハウスで寝ていた猫が、どこで何をしていたのだろう、の台詞が繰り返しでてしまう。私にさえ触らせたことのない用心深い猫である。お愛想のできる猫ではない。きっと我が家のように触らせなくてもエサをくれるいい処があったのだろう。猫の自由、たいしたものであります。写真の右がコトン母さん。左が甘えん坊の息子のクロ。Cimg1386_800x599


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2013年9月 7日 (土)

溝呂木梨穂さんの詩集「私の私らしさを見つけたよ」

Img003_575x800_2先日、参加している朝の会で、溝呂木真理さんの感動のお話を聞きました。真理さんは20年前、梨穂さんを出産、喜びに包まれたのもつかの間、梨穂さんは新生児黄疸にかかり、生後1カ月で最重度の寝たきり脳障害となってしまったのです。それからの20年。真理さんはひたすら我が娘の快復を信じて、傍目には一方通行に思えても、ともに勉強し、リハビリをつづけてきたのだそうです。そして20125月、国学院大学の柴田保之先生との出会いで奇跡が起きます。柴田先生が開発した翻訳機によって言葉の伝達が可能になったのです。梨穂さんには20年ものあいだ、ひとり内に秘めて誰にも発することのなかった言葉がありました。その言葉があふれだし、表現され始めたのです。この奇跡をお二人は「希積」、希望を積み重ねてきた日々、の意味を込めてこう書きます。言葉で意思を伝え合えることの喜びはいかばかりだったことでしょう。想像を絶します。我が子を信じつづけ、慈しむ母の偉大さを思います。そしてそれに応える梨穂さんの純粋な心、すばらしさ。梨穂さんは詩を書き、表現者としてスタートしたばかり。これからがほんとに楽しみです。この「希積」を多くの人にお知らせしたくてご紹介させていただきました。

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練馬富士に登る

Cimg0896_800x600住まいの近くに中里の富士塚がある。何度か登った。高さ12メートルの小山だが、くねくねと曲がる細い道に何の支えもないので、登るにつれ結構お尻がむずむずして、天辺では座り込んでしまう。眼下に町並を見下ろせる。隣の八坂神社の木に覆われて実際の富士山はここから見えないが、ちょっと離れた高台から正月の三が日の朝は本物の富士山を拝める。練馬区にはほかに何カ所か富士塚があるらしい。富士塚に参拝すると、富士山に登拝したと同じご利益があるとか。

6日の新聞に富士登山者のトイレ問題が出ていた。世界遺産登録で富士登山が過熱しているが、日本のシンボルを美しく守るためにも、登山制限が必要かもしれない。私は練馬富士で間に合っている。

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