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2013年8月27日 (火)

小池真理子著『沈黙のひと』を読む

小池真理子さんというと彼女が溺愛していたゴブという猫の話をまず思いだす。犬派だった彼女がゴブとの運命の出会いから、すっかり虜になってしまい、無条件の猫派になってしまったお話だった。そういう話は覚えているが、肝心のどんな小説を書いている人かとなると、スミマセン、定かでない。中間小説雑誌で読んだくらいか。

さて、話題作『沈黙のひと』は実父をモデルにしているというので、読んでみたいと思った。3歳だった私(衿子)と母親を捨てて新しい女のところに行った父親との最晩年の交流という設定。異母の妹が2人いるが、父は編集者になってバリバリ仕事をしている衿子が最愛の娘であり、自慢である。何をいまさらとは思わず、客観的、冷静に、温かく接する衿子。そして最期を看取る。小説とはいえ、やはり作者自身と重なる。人間関係の新しいあり方を見せてもらったように思う。ちょっと不自然に思ったのは、衿子は大手出版社に勤める編集者だが、病院や介護施設での彼女に対する周りの対応が特別手厚い感じがして、これは才色兼備で直木賞作家・小池真理子だからでは、という印象が拭えなかった。短歌を詠んだ父親と短歌友人の女性との交流は実話のようで、ふたりの実作の短歌が組み込まれてあり、全体にリアリティを持たせている。構成もしっかりしている。後味のよい作品でした。

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