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2013年8月

2013年8月27日 (火)

小池真理子著『沈黙のひと』を読む

小池真理子さんというと彼女が溺愛していたゴブという猫の話をまず思いだす。犬派だった彼女がゴブとの運命の出会いから、すっかり虜になってしまい、無条件の猫派になってしまったお話だった。そういう話は覚えているが、肝心のどんな小説を書いている人かとなると、スミマセン、定かでない。中間小説雑誌で読んだくらいか。

さて、話題作『沈黙のひと』は実父をモデルにしているというので、読んでみたいと思った。3歳だった私(衿子)と母親を捨てて新しい女のところに行った父親との最晩年の交流という設定。異母の妹が2人いるが、父は編集者になってバリバリ仕事をしている衿子が最愛の娘であり、自慢である。何をいまさらとは思わず、客観的、冷静に、温かく接する衿子。そして最期を看取る。小説とはいえ、やはり作者自身と重なる。人間関係の新しいあり方を見せてもらったように思う。ちょっと不自然に思ったのは、衿子は大手出版社に勤める編集者だが、病院や介護施設での彼女に対する周りの対応が特別手厚い感じがして、これは才色兼備で直木賞作家・小池真理子だからでは、という印象が拭えなかった。短歌を詠んだ父親と短歌友人の女性との交流は実話のようで、ふたりの実作の短歌が組み込まれてあり、全体にリアリティを持たせている。構成もしっかりしている。後味のよい作品でした。

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2013年8月 7日 (水)

猫の名前

Tenbestむかしクリンカーという猫がいた。クレオパトラのように目にばっちりアイラインが入った美猫だった。うるさく(それが可愛い)鳴く猫という意味で付けたように思う。 テンという猫はクリスマスイブにやってきたので、天からの贈り物だった。その他の歴代の猫たちはチビ、クロ、ブッチ、アミ、ナナ、など適当な名ばかり。名前に余り思い入れしないようにした。今いるミクは三毛が訛って初音ミクばりに流行の名前になった。ホースケも元はといえば鼻の脇にホクロがあるので、惚の字のホーと呼んでいたが、脚がとても長いので足長ホーおじさんとか、無駄な贅肉がなくスマートなので、最近ではスマホとも呼ばれている。結果、ふたりとも時代の先端を行く名前になってしまった。写真は私のお気に入りだったテン。

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2013年8月 2日 (金)

映画「オルフェ」を観る

ジャン・コクトー、1950年制作の映画のHDリマスター版。五反田のルーブル・DNPミュージアムラボで観た。「美女と野獣」はテレビで見ているが、オルフェは初めて。ギリシャ神話のオルフェウスの伝説を題材に、コクトーが現代の物語に仕上げた作品。まずタイトルバックのデザインがむかし懐かしい手づくり感覚で温かい。生から死、死から生の世界に鏡から入って行くところなども、いまのCG技術などに比べたら、たわいないテクニックながら、とても新鮮だった。古くて新しいとはどういうことだろう。手を変え品を変えて創作しても、人間の生み出すものには限界があって、なんでもありの現代ではむしろこうしたシンプルで根源的なものに心ひかれるのかもしれない。オルフェ役はコクトーの恋人だったジャン・マレー。死神の王女がマリア・カサレス。ジュリエット・グレコも出ていた。よき時代のポエジーの世界。

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