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2011年11月 8日 (火)

津村節子著 『紅梅』 を読む

2006年に亡くなった夫の吉村昭に「自分のことを3年間は書くな」といわれていた、と津村さんは文藝春秋9月臨時増刊号の特集「吉村昭が伝えたかったこと」のインタビューで打ち明けている。その夫について書いた作品。やはり書かずにはいられないのが作家の業なのか。作家夫婦ということで何かと話題にされたお二人だが、吉村さんは妻が同業の作家であるという意識をもたなかったという。そして津村さんの作品をまったく読まなかったという。夫婦生活が円満につづいた理由かもしれない。実際『紅梅』を読んでも、夫に対する津村さんがごく普通の妻であることに驚きを禁じ得ない。妻らしきことが十分できなかったことを悔やむところなど、ほんと女性のごく普通の感覚だ。それを飾らずに淡々と書くところがすごいのだが。夫が癌になり、病魔と闘った最後に「もう、死ぬ」と、みずから身体に固定された管を引き抜いた。その死の間際に「あなたは、世界最高の作家よ!」と叫んだ妻。素敵なご夫婦である。

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